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数学

補助線はなぜ思いつかない?図形問題を見るときのコツ

補助線は才能ではなく目的を持って引くもの。三角形の中の点の角度を求める例題で、「欲しい関係を作る」という補助線の考え方と定番パターンを紹介します。

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図形問題の解説に「ここで補助線を引きます」と書かれているのを見て、「どうしてそんな線を思いつくの?」と感じたことはありませんか。実は補助線は、ひらめきというより、はっきりした目的を持って引かれていることがほとんどです。この記事では、その目的を知ることで、補助線を「思いつく」ではなく「狙って引く」ものに変えていきます。

補助線の目的は「欲しい関係を作ること」

最も有名な例は、三角形の内角の和が180°になる理由です。三角形ABCの頂点Aを通り、辺BCに平行な直線を引きます。平行線の錯角は等しいので、角Bと等しい角、角Cと等しい角が、頂点Aのところに現れます。頂点Aには、もともとの角Aと合わせて3つの角が一直線上に並ぶので、合計は180°です。

この補助線は、図の中に元々なかった「角Bと角Cの居場所」を作るために引かれました。補助線とは、今ある図には存在しない「等しい角・平行・直角・合同」などの関係を、人工的に作り出す線だと言えます。目的が分かれば、線を引く方向も絞られます。

例題:三角形の中にある点

三角形ABCの内部に点Dがあります。∠A=50∘\angle A=50^\circ、∠ABD=20∘\angle ABD=20^\circ、∠ACD=30∘\angle ACD=30^\circ のとき、∠BDC\angle BDC は何度でしょうか。

角度の情報が、バラバラの場所にあることに注目してください。∠A\angle A、∠ABD\angle ABD、∠ACD\angle ACD を、∠BDC\angle BDC のところへ集めたいのです。「集める」ために、どんな線を引けばよいでしょうか。少し考えてみてください。

直線ADを延長し、辺BCとの交点をEとします。三角形ABDで、∠BDE\angle BDE は ∠ADB\angle ADB の外角なので、離れた2つの内角の和に等しくなります。

∠BDE=∠BAD+∠ABD\angle BDE = \angle BAD + \angle ABD

同じように、三角形ACDでは ∠CDE=∠CAD+∠ACD\angle CDE = \angle CAD + \angle ACD です。この2つを足すと、∠BAD+∠CAD=∠A\angle BAD + \angle CAD = \angle A なので、次のようになります。

∠BDC=∠A+∠ABD+∠ACD=50∘+20∘+30∘=100∘\angle BDC = \angle A + \angle ABD + \angle ACD = 50^\circ+20^\circ+30^\circ=100^\circ

この式は、「点Dのところの角は、頂点Aの角と、2つの小さな角の合計に等しい」という、一般に成り立つ性質を表しています。延長という補助線一本で、バラバラだった角が一か所に集まりました。

補助線の定番パターン4つ

補助線の引き方には、よく使われる型があります。

  • 平行線:錯角や同位角で、等しい角を別の場所へ移したいとき。
  • 延長:外角の性質を使いたいとき。線を延ばして新しい三角形を作ります。
  • 中点まわり:中点を見つけたら、2つの中点を結ぶか、線を2倍に延ばします。三角形の2辺の中点を結ぶ線分は、第3辺に平行で長さが半分になります(中点連結定理)。
  • 垂線:角度や長さの情報が斜めになっているとき、垂線を下ろして直角三角形を作ります。

見るときのコツ

補助線を思いつけないとき、次の問いが助けになります。

「まだ使っていない条件はないか?」中点、平行、直角、等しい長さのうち、図の中で使われていないものが、補助線の方向を教えてくれます。「何と何が離れているか?」角度が散らばっていれば集め、長さが離れていれば近づけます。「知っている定理の形を作れないか?」あと一本で外角や平行線の形が完成するなら、その一本が補助線です。

まとめ

補助線は、新しい情報を付け足す魔法ではなく、図の中に眠っている関係を取り出しやすくするための道具です。目的が「集める」「近づける」「等しい関係を作る」のどれなのかを意識すると、線を引く方向が見えてきます。次に図形問題を見るときは、まず「どの条件がまだ使われていないか」を探してみてください。

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